特集【防災】 災害によるガラスの破損事故の実態

建物のガラス事故が圧倒的に多い1991年1月から1996年6月まで

1991年(平成3年)1月から1996年(平成8年)6月までの5年6カ月間に発行された朝日新聞の朝刊および夕刊、さらに全国版と地方版の中から、「ガラス」と「ケガ」のキーワードで検索し、該当する記事を抽出しました。自然災害、日常災害による事故や事件の総数は479件、そのうち建物に関する記事は324件と全体の68%を占めています。

銃撃など怖い破損事故が増加

建物に関するガラス破損事故の原因のワースト3は、1位が爆発(20%)、2位が銃撃(16%)、3位が火災(14%)で、この3つで全体の50%を占める高い比率を示しています。
以下、衝突、強盗、地震、車突入、暴力、強風、テロなどが続きますが、全体として自分自身の行動によるものではなく、たまたまその現場に居合わせたために災難に巻き込まれてケガをする人が増えています。
過去には、テロにより300人以上の死傷者を出した三菱重工ビル爆破事件などがありましたが、こうした怖い破損事故は衝撃が大きく記事になりやすいこともあります。
銃撃やテロなど、ひと昔前には考えられなかった原因が増えていることももうひとつの事実です。

ケガの発生率が高い火災

建物の原因別ガラス破損事故で最も特徴的なことは、火災の場合のケガの発生率が84%と、異常に高いことがあげられます。火災による熱割れ、消化活動のための損壊、避難時の人体衝突による破損など、ガラスの割れやすい状況が揃っている上に、緊急時のあせりや混乱によってケガをするケースが多いようです。

1993年(平成5年)8月、大阪市中央区の薬局の火災では、熱割れしたガラスが落下し、1人が腕や肩を負傷。また1995年(平成7年)1月、山口市の火災ではケガ人こそでませんでしたが、火元の飲食店に隣接する病院や新聞社の窓ガラス数十枚が火災の熱風でヒビ割れ一部落下するという現象も発生しました。一歩間違えると大きな惨事につながるガラス破損事故、とくに住宅の密集している所では、大惨事になる可能性は大です。

火災についでケガの発生率が高いのが雹(ヒョウ)や突風による破損事故です。記事掲載件数は4件と極めて少ない事故ですが、ケガ率は75%と高い数値を示しています。
最も大きな被害を出したのは、1994年(平成6年)9月、埼玉県美里町で起きた破損事故です。
強い雨を伴った突風と雹(ヒョウ)が町内の中学生を襲い、三十枚以上のガラスを破壊し、73人にケガを負わせました。飛散した3ミリ透明フロートガラスは凶器となって、生徒たちの頭から額、肘や手足などを傷つけました。
この事故では、「なぜ安全ガラスが使われていなかったか」という点が後で大きな問題となりました。
学校や病院、会社など多くの人が集まる場所には、多くの危険が潜んでいます。
ガラス1枚が大きな惨事を招くという恐怖の現実です。

地震とガラス破損事故

1978年(昭和53年)6月に「大規模地震対策特別措置法」が制定され、静岡県を中心に隣接の各県の一部を含めて「地震防災対策強化地域」が指定されました。
その後、全国各地で地震が起き、その度に耐震対策が見直され検討されてきました。とりわけガラスによる被害は大きく深刻で、開口部の安全対策の強化が急がれています。

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