家やオフィスでの冷暖房や都市にあふれる自動車、そして世界規模での森林破壊などが密接にからみ、地球温暖化は複雑な現代人の社会生活を反映しています。 近代の歴史とは、社会の複雑化の歴史であったともいえるでしょう。そして、昨今社会や生活の複雑化の揺り戻しとして、「シンプルライフ」「スローフード」「スローライフ」などといったキーワードをしばしば見かけるようになったのは偶然ではありません。日々の生活と自然が一体となり、四季それぞれの移り変わりを愉しみながら、ゆったりとスローライフを送っていた先人の知恵に学びたいと思っています。

日本の四季を感じながら

自然、気候、風土を活かした住まいこそが、日本の伝統の家づくりでした。
窓からの陽射しの変化に驚き、木肌のそよぐ音に春の息吹を感じたり、耳に心地よい風鈴の音が聞こえる、そんな住まい。自然の恵みを最大限に活用し、先人が培ってきた知恵が生活文化にまで高められたものでした。
これら過去の遺産こそ、今私たちが学ぶべき生活の基本となるものだと考えます。「省エネ」や「節約」を強く意識せずとも、自然を生活の一部とすることで、自ら地球への負担を減らすことにつながっていくのです。

五感で夏を愉しむ

夏といえばアブラゼミの鳴き声が、暑さをいっそう際立たせます。これは鳴き声(聴覚)による心理的な影響と言えます。反対に、これら五感を働かせ、ほんの少しだけ意識して暑い夏を愉しみ、涼しく乗り切る工夫はできないものでしょうか。 主に考えられるものは、

  • 窓の外に落葉樹を植える ・花ござ ・木陰 ・そよ風
  • 夜の虫の音・すだれ・簾・打ち水・風鈴の音
  • 涼しげなガラス細工・浴衣・夏野菜や氷等
  • 夏座布団や夏用敷布の肌触り・籐のインテリア
  • うちわ・日除け棚(ぶどうやつたを這わせる)

などなど、まだ他にもたくさんあるでしょう。
昨今は、レトロ趣味やアジアンテイストがインテリアにもどんどん採り入れられる時代。籐家具にすだれを掛けて、お香を焚く。時々、風鈴がチリンと鳴ったりするだけで、ちょっとオシャレに気持ちも涼しくなるというものです。

冬、パッシブで「暖」をとる

現代では住まいを工夫し、太陽や風、水などの自然を建物の中に活かす技術をパッシブ(Passive)といいます。自然を建物に採り入れるには、建築技術だけでなく、住まいの工夫次第でいろいろなパッシブをおこなうことができます。太陽や風、水などの自然エネルギーを活用し、効果的に「暖」をとる工夫を考えてみるのもひとつ。
これから冬に向けて、「暖」をとるには熱を「集め」「蓄え」「逃がさない」がキーワードとなります。
ほんの一部ですが、すぐにできるパッシブをご紹介します。
※過度の高気密・高断熱は外界との関わりを立ってしまい、よりいっそう化石エネルギーに頼ることになり、地球温暖化に拍車をかけてしまいます。室内空気の換気面からも注意が必要です。

四季を感じながらも「夏涼しく、冬暖かい」というのはまさに理想の環境と言えるでしょう。自然エネルギーだけでそれが実現できれば、それに越した事はありません。しかし、風土や環境によってはそうもいかないこともあるでしょう。大切なことは、無理をせずその地域に合った範囲内でできるだけ自然力を活用しつつ、足りない部分を人工エネルギーで補うことが必要だと思います。

現在の居住空間でできること

  • 日当たりのよい部屋をメインの生活空間にする
  • なるべく同じ部屋に人が集まるようにする
  • 日当たりのよい場所に石やタイル、レンガを敷いて熱を蓄える
  • 衣類やひざ掛けなどで体温調整し、冷暖房の利用を控える
  • 夕刻からは雨戸、カーテン、障子を閉めて熱の逃げを防ぐ

これから家を建てる方

  • 南に開けた土地を得ること
  • 部屋の奥にも日が入る天窓を設ける
  • 日当たりの良い部屋をメインに生活空間を設計する
  • 南側の開口部(窓やガラス戸)を大きく設ける
  • 開口部の二重サッシ化、壁面の断熱強化を図る
  • 太陽熱を床暖房や給湯に利用するシステムを組み込む
  • 自然素材(木材・畳の温かみ・土壁、和紙の保温性能)の効果を活用する

複層ガラス

複層ガラスは「夏涼しく冬暖かい」を実現します。
太陽熱を取り入れながら暖房エネルギーを外に逃がさないだけでなく、夏の強い太陽熱を反射しオールシーズン快適で省エネルギー効果の高いガラスです。

遮熱複層ガラス
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高断熱複層ガラス
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