ドロボウにとって「仕事」のしやすい国?

世界規模でみれば、まだ比較的に「平和」といえる日本ですが、犯罪件数は時代の流れとともに増加し、その手口は凶悪になりつつあります。とくに「侵入盗」というのは非常に多く、平和だからこそセキュリティ管理に対する危機感が非常に薄いのが現状です。
ドロボウたちにしてみれば、これほど「仕事」のしやすい国は他にないのではないでしょうか?
下の表は、警察庁の出しているデータから抜粋したものですが、意外なほど犯罪が多いことに驚きます。

2021年1~12月の重要犯罪件数(出典:警察庁)

罪名(手口) 認知件数 検挙件数 検挙率
2021年
1~12月
2020年
1~12月
増減 2021年
1~12月
2020年
1~12月
増減 2021年
1~12月
2020年
1~12月
増減ポイント
件数 増減率(%) 件数 増減率(%)
重要犯罪 8821 8935 -114 -1.3 8240 8369 -129 -1.5 93.4 93.7 -0.3
重要窃盗犯 44076 51604 -7528 -14.6 32177 36244 -4067 -11.2 73.0 70.2 2.8
侵入盗 37240 44093 -6853 -15.5 28456 31836 -3380 -10.6 76.4 72.2 4.2
住宅対象 17283 21030 -3747 -17.8 13155 15051 -1896 -12.6 76.1 71.6 4.5
その他 19957 23063 -3106 -13.5 15301 16785 -1484 -8.8 76.7 72.8 3.9
自働車盗 5182 5210 -28 -0.5 2556 3006 -450 -15.0 49.3 57.7 -8.4
ひったくり 544 877 -333 -38.0 426 712 -286 -40.2 78.3 81.2 -2.9
すり 1110 1424 -314 -22.1 739 690 49 7.1 66.6 48.5 18.1
  • 単純計算で、日本でも毎日120件以上の「侵入盗」が出没している
  • あくまで「認知件数」の発表なので、内部犯罪や侵入に気付かないケースなど刑事事件になっていないものを含めるともっと膨大な件数に上る
  • 「重要犯罪」と比較すると、「重要窃盗犯」の検挙率があまり高くないことが目に留まる

ドロボウが選ぶ侵入口

このグラフは、侵入盗被疑者への聞き取り調査によって得られた回答です。住宅における主な侵入口は、「窓」と「玄関」についで「ベランダ」、「縁側」という順になりますが、「ベランダ」と「縁側」は「掃き出し窓」であるので、窓からの侵入が最も多いことになります。窓の防犯対策は必須ですね。

新たな侵入手口「焼き破り」

これまでガラス破りの手口は「こじ破り」や「打ち破り」による被害が多かったのですが、新たな手口として「焼き破り」による被害が多発するようになってきました。「焼き破り」とは、窓の錠の周囲のガラスを強力ライターなどで焼いて割れやすくなったところを割ったり、加熱後に水を吹きかけてヒビを入れて割るなどして窓ガラスを破りカギを開けて、侵入して窃盗を働くというものです。ガラスは火に弱く、破壊時の音がほとんどしないため、気付かれ難いのです。

「焼き破り」による被害

窓ガラスにライターの火

「焼き破り」で3人の男逮捕

新たな侵入盗の手口として急増[埼玉県警]

イメージ

埼玉県警はライターなどで窓ガラスを熱し、 ひびを入れて破る『焼き破り』の手口で民家から現金を盗んだとして、 日本人1人と自称中国人2人を窃盗容疑で逮捕した。

3人は3月、 埼玉県越谷市の民家1階の窓ガラスを火力の強いライターのようなもので熱して破り、 鍵を開けて侵入。現金十数万円などを盗んだ疑いがもたれている。

埼玉県警によると、埼玉県で焼き破りによる被害は269件(4月末現在)発生している。 この3人は少なくとも50件、 被害額計1,000万円以上の犯行を重ねていたとみて追及している。

『焼き破り』は特殊な工具や技術を必要とせず、ガラスを破る音も小さいため気付かれ難い。 ライターを持っているだけでは怪しまれないことから、 『ピッキング』『サムターン回し』に代わる侵入盗の手口として急増している。

引用:読売新聞2003/5/15

「焼き破り」侵入繰り返す

中国人を逮捕 神奈川県警

窓ガラスを携帯用ガスバーナーで熱して割る「焼き破り」の手口で窃盗を繰り返したとして、神奈川県警捜査3課などは19日、中国国籍の埼玉県蕨市北町、無職、陳建勝被告(28)(別の窃盗罪などで起訴)を窃盗容疑で再逮捕した。

同課などは、陳容疑者ら中国人を中心とする約10人のグループ(同容疑などで既に逮捕)が、関東地方で約500件、被害総額1億2,000万円の盗みを同様手口で重ねていたとみて調べている。

調べでは、陳容疑者は昨年2月12日、茨城県友部町の同県職員(58)方など3軒に焼き破りの手口で侵入、現金計約15万円を盗んだ疑い。

同課などは、陳容疑者らが日本人2人を車の運転手として雇い、01年12月~03年5月に神奈川、東京、千葉、埼玉などで同様の窃盗を続けていたとみている。焼き破りは近年多発傾向にあり、対策が問題化している。

引用:毎日新聞2004/1/19

被害1億7,000万円余か

少年含む窃盗団10人を逮捕

ガスバーナーで窓ガラスを焼き切る手口で窃盗を繰り返したとして、千葉県警捜査三課は26日までに、窃盗容疑で千葉市緑区高津戸町、無職石川雅一容疑者(25)ら17~19歳の少年7人を含む計10人を逮捕した。

同課は石川容疑者らが昨年3月から10月までに関東地方などの9県で約180件の盗みを繰り返し、被害総額は約1億7800万円に上るとみている。

調べでは、石川容疑者らは昨年7月15日午前4時ごろ、千葉県市原市の会社役員(53)宅に侵入し、現金約600万円を盗むなどした疑い。

少年らは暴走族仲間。テレビで紹介された手口をまねて高級住宅街を狙い、3人1組で行動していた。携帯用ガスバーナーで窓ガラスを焼き、ペットボトルの水をかけて火を消した後、針金で鍵を開けていたという。

引用:共同通信2004/2/26

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